08.「私の知らないヒト」


私の隣に佇むヒトはだれ?





私はこんなヒト知らない。

何故ならその姿を知らないから。


















トントン



誰だろう?
私に会うヒトなんて限られてはいるが。

「俺だよ。入っても良いか。」

"俺"だけだとオレオレ詐欺のようだ。
俺という一人称を使っていたのはヴァンだったか、何をしにきたんだろう。

「どうぞー。」

も剣を習うことになるなんて思わなかったぞ、あの大鎌もあったのに。」

「まぁー、一応色んな武器試してみよっかなぁとか思っちゃったり?」

「何故に疑問系。」

「自分で自分のことまるで解かんないから。」

ソレが多分私の正解なのだ。
自分で自分のことが解からないなんて、
ふざけた答えではあるが、実際分らないのだ。
何がしたいのか、何でそんなこと考えてんだろうとか・・etc。
人間の神秘だ。そうに違いない。
さらに言えるなら、自分のことすら分りえない奴なんかに
他人のことなんて解かりえないのだと。
私は       そう思う。


「まっこれからがんばれよ」

「えっ・・・あぁ頑張るよ。」


思考が引き戻された。
あぁネガティブに磨きがかかりそうだ。
・・・ヴァンはいいこだな。わざわざ声を掛けに来てくれるなんて。
わたしに他人を気にかける余裕があればいいのに。

「ヴァンも頑張れ」

「ん。頑張るよ。」

そして、私たちの会話は終了した。

















・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・。

いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
ふかふかのベットに横たわる私。

・・・・・・・。

ワタシノヨコニイルカタハダレデスカ?

「うぁ・・・。」

水色の髪さらさらしてる・・・。
そのサラサラの髪を撫でてみた。
女のヒトの髪みたいだ、正直羨ましい。
ところで何で横に居るんだこのヒトは。わたしが何かしたのか?

「・・・・・ん?」
私の隣に居る私の知らない誰かが起きた様だ。

「誰だあんた?何で私の隣に居るんだ?」

直球に聞いてみた。

「俺か?俺はルインだ。元は街の名前だがな」

低い声が心地よい。

「私はだ。で、そのルインさんが何でここに居るんだ?」

「俺は意思だ。」

「意思?何だソレは。」

「お前の武器の意思だ」

「あの大鎌のことか?だがアレはただの武器じゃないのか?
まぁやたら重いけど。」

「まぁ其れだけじゃないんだよな。
アレに宝石のような石が付いてるだろ?アレがポイントだったりする。
アレの名はエクスフィアだ。アレはヒトの力を引き出したりするもんだ。」

ルインは青い髪をかきあげながら説明した。

「あのエクスフィアは輝石とも呼ばれたもので、ほかのエクスフィアとは
違う部分があるんだ。
まずその一、老いることが無い。
まぁ姿変えようと思ったら多少は大丈夫。
そしてその二、魔術が使えるんだよ。」

「ちょっと待て、譜術じゃないのか?」

ヴァンに説明されたときそう言ってた気がする。

「あぁ気が付いたのか、案外馬鹿じゃないな。」

「馬鹿にすんなコラ。」

ルインの頬を引っ張ってやる。ふんいい気味だ。

「俺はお前と同じだ。ここに元からあるものではない。
つまり言うと、イレギュラー。まさに異分子だ。
あの武器屋にお前が来たとき、同じ仲間だということがすぐ解かったよ。
ここに居るニンゲンらとは雰囲気が違った。
まぁそれは魔力だ。ここに居るニンゲンらは魔力は無いがお前にはあったんだ。」

「はぁ・・・。魔力なんて無いはずだがなぁ。」

「世界は違うんだろうがな。」

「世界・・・・?何のことだ」

「お前の居たセカイ。俺の居たセカイ。その違いだ。」

「私の世界には魔術まんて無かったと思うし・・・。
あぁでもそんな本は沢山あったよ。使えるかどうかは別にして。」

初心者でも使える黒魔術etc・・・胡散臭いものは沢山有った。

「まぁ便利だと思うがな。で、お前は魔術を使いたいか?」

魅力的な話だ。私は今、力がほしい。ソレが手に入るのなら、

「あぁ、使いたい。」

「交渉成立だな。」

満面の笑みか・・・。その笑みに騙された気がするのは何故だろう。

「ところでルイン。アンタ人間の姿でいるのか?」

「なんだ、この姿が嫌なのか?」

正直言ってルインは美形の部類に入るだろう。
だが、マリィやヴァンに見つかりでもしたら、問い詰められるだろう。
それだけは避けたい。

「そうじゃないけど・・。
私とふたりきりの時はいいんだが、他の人と一緒に居るときに誤魔化すのが面倒だなぁと。」

「何だ。そんなことか。俺は猫が好きだからねこでいいか?」

「yes!むしろ猫で!!」

私は無類の猫好きなので嬉しすぎだ!
あちらにいたときは、親が猫アレルギーだったので飼えなかったのだが。
こちらで猫(?)を飼うことが出来るなんて思っても見なかったが。

・・・。
目の前のルインはいつの間にか猫になっていた。
ロシアンブルーの毛並みが薄い紺になったような猫だった。

「かっかわいい。」

私はルインを持ち上げて抱きしめた。
やっぱ猫可愛いな。
毛並みがフワフワしてて気持ちがいい。

「どうしたんだ?」

外見は猫で声はルイン。
なんともアンバランスだが。
それが愛しい。


「温かいなぁと思って。私生きてるんだな。」

「当たり前だろう、お前は生きてる。お前も暖かいしな。」

ルインはとても抱き心地が良かった。

そして私はルインの声を聞きながら眠りについた。
















私と彼方はイレギュラー。

ここに有ってはあらぬもの

だけど、私を見つけてくれたのは彼方。

そして、私が助けたいのは君と彼方と貴女と貴方たち。





これからくるどんな事にも私を助けてくれたあなたたちとともに。





これからもいっしょにいたいんだ。
ただそれだけのねがい。

















(061210)
オリキャラ出してしまった・・・。ルインさん思いっきりオリキャラです。
シンフォニアやったヒトはわかるかもしれませんが、ルインさんはシンフォニアからきとることになってます。
ヴァンの出番が少ない・・・。
次くらいにはホド戦争に繋ぎたい。