05.幸せ





だから私は君に送るよ。君が思う幸せを。





鬱蒼と茂る森の中を、歩く歩く歩く歩く・・・・。
本当鬱蒼としてるよね。

微妙な都会っ子の私にとって森の中を歩くのは、辛かったりする。
何故に微妙なって入るかって言うと、東京でもないしどっちかって言うと田舎の部類に入る所にすんでいたからだ。
田舎って行っても木々が鬱蒼と茂っておるわけでもなし。
普通の商店街やスーパーが有って、でも東京みたいに賑やかなわけじゃない。

それに私は元インドア派だっただしね。

ガサガサッ

ふと目の前に最初に出会ってしまった、アレがいた。
人ではない。
動物のようなソレ。
恐怖。畏怖。その言葉がまるで似合うんだ。

「っ!早く武器を取れ!!」
 ヴァンがソレを抑えてくれていた。
「・・・っ分ってるよ!今やるからっ!」

少し前に買ったサファイヤのようなソレは。
夕日に照らされアメジストのように光る。


「さぁ、行こうかな。」
「頼もしいな、大丈夫なのか?」
「さぁ?・・・まずはやってみないと分らないこともあるんだよね。」
「まぁ援護はするから、一人でがんばってみろ。」
「マジかよっ・・・・。駄目そうになったら後よろしくね。」
「フッ・・じゃあ逝ってこい。」
満面の笑みに私は意見を言えず。


てか、何か漢字がちがくねぇか?ヴァン・・・。


「うおっ・・・・。」
魔物は突進してくる。まるで猪の様に。
言葉では猪突猛進。
爪が肩をかすった。チリッと痛みが駆け巡り、血が流れる。
二撃目は鎌を使い受け止めるが、一応魔物の体重は重い。体長は私の身長以上ある。
「重ぃ・・・っ」
さすがの私もこっちに来てから力持ちになったとはいえ上から圧し掛かれるときついものが有る。
「だけど、さっさと退いてくれないなら、・・・・うおぉっ!」
魔物を思いっきり投げ飛ばした。・・・それは頭を打ったのか気絶していた。
だから私は、鎌を持ち振り上げた。
魔物の最後は決して見ないように。目を瞑って。




私はソレの命を奪った。

怖かった。私は生きているから。

だから、目を瞑った。

それは私に対して唸り声しか言わなかった。

何も分らない。

ソレが怖いんだよ。

私は、誰が何と言おうとかまわない。

何故か?それは、

『私が臆病者だったからさ。』





「本当に怪我平気か?」
私の怪我をヴァンは治してくれた。

「怪我は大丈夫。・・・だけど初めて戦ったんだ。喧嘩とはまったく違う、戦いは初めてなんだ。
・・人間の喧嘩とは全く違って魔物は口も利かない。意思疎通が無い。・・・それが、怖いんだ。
命を奪うのも怖いとはいえない、だけど怖い。私が倒さなければ私が魔物に食われてしまうから。」

「そんなこというのは、が初めてだな。命を奪うのが怖いというのは聞いたこと有るけれど・・・
って俺がそうなんだけどな。だけど、の場合は逆に魔物が何を考えているのか分らないから怖いのか。」
こくんと頷いた。

「大丈夫。そのうち慣れるさ。それでも、魔物の考えていることを知りたいと思うのなら、研究すればいい。解かるまで。
どうせ、元の世界に変える方法も調べるんだろう?だったらついでにしらべればいいさ。」
私を安心させてくれる微笑だ。
だが、ヴァンの「慣れるさ」という言葉が何故かちょっとだけ悲しいかった。
君はもう慣れてしまった人間なの?

どうしよう、ちょっと涙で霞んできた。

・・・私を助けた君は、何時までも平穏に暮らして欲しいんだよ。
だから、優しい君に何時までもしあわせを。
わたしは君におくるよ。







その人は突然現れた。



「あら、ヴァン?どうしてこんな所にいるの?仕事中でしょう。」
かわいらしい声、セミロングの金髪の少女は現れた。

「マリィ様こそ何故こんな所に?勉強の時間では?」
どうしてあの方がこんな所に居るんだ。も居るってのに。
内心舌打ちをしながら返答する。

「仕事の帰りに記憶喪失になっている女性がいらっしゃっていたので、一緒にいたのです。
屋敷に連れて行ってもいいでしょうか?」
五分五分だ。だがこの人はを置いていく事はないだろう。

「もちろんです。記憶喪失というならなおさらですよ。
そのかわりといっては何ですが、私たちを屋敷まで護衛して欲しいのです。」
不敵な笑みを浮かべながら言う。

「私たち?・・・私たちとはどういうことなのですかっ?」
こういう時の嫌な予感ほどよく当たるものだ。

「ガイも一緒に連れてってくださいな。」
横から少年が現れた。

その少年は少女と同じく金色の髪をしていた。





















君と私との思い出。

この島共に。













(061027)

マリィ全然わかんねぇ・・・・。
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